LP-LiC・LP-SoC工法

丸太打設液状化対策

液状化対策・軟弱地盤対策と地球温暖化緩和を同時に実現する

カーボンストック技術
~地中に森をつくろう!~

技術概要

 大気中の二酸化炭素を、丸太を使ったLP-SoC工法やLP-LiC工法により、建設事業を行いながら地中に森をつくり減少させる技術です。
 大気中の二酸化炭素を減らす技術は、今まではほとんどありません。
 地球の気中にあった二酸化炭素は、長い地球の歴史の中で、地中へと封じ込められてきました。その濃度は、産業革命前までは大局的に見れば減少傾向にあります。このお陰で大気は安定し、環境が整い、人類は誕生し現在に至ったと言えます。我々人類は、この自然の変化に大いに感謝すべきです。
 二酸化炭素濃度が減少した要因の一つは、樹木の誕生です。樹木は、大気中の二酸化炭素を光合成により吸収し、酸素を排出し、炭素を樹木として固定します。樹木の生長は、大気からの二酸化炭素の減少そのものです。この自然の原理を建設技術に活用し、建設事業を推進しながら地中に森をつくり、温室効果ガスを減少させ気候変動緩和に貢献しようとするのが、カーボンストック技術です。

技術の特徴

1.建設事業で気候変動緩和

  • カーボンストック技術は、当社の開発したLP-SoC工法やLP-LiC工法などの木材を大量かつ長期間使用する地盤改良技術により、軟弱地盤対策や液状化対策といった建設事業を行いながら同時に、木材を利用による材料代替省エネルギー効果や炭素貯蔵効果により温室効果ガスを削減し、気候変動緩和・森林林業再生・安全安心社会の構築を行います。

カーボンストック技術の目指していること

2.炭素の固定
(森林を活用し木材製品を
炭素を固定化)

  • 樹木は大気の二酸化炭素を吸収し成長します。したがって木材の体積の増加は、大気からの二酸化炭素削減量そのものです。樹木は植林後、特に若い若齢段階で旺盛に二酸化炭素を吸収し炭素を固定します。しかし老齢段階になると、呼吸による二酸化炭素量の排出が多くなり、また、枝葉が落ちそれが朽ちることで二酸化炭素の排出も多くなり、その収支はバランスし大気からの二酸化炭素削減には寄与しなくなります。アマゾンのジャングルのような成熟した森林は、二酸化炭素削減に大きく寄与しているようですが、大きな炭素の貯蔵庫であるものの、大気からの二酸化炭素削減に基本的には寄与していません。
  • そこである程度成長した樹木を伐採し、材料として使用します。伐採した土地には再度植林することができ、植林した樹木が成長すれば、再び大気から二酸化炭素を吸収固定できます。植林、育成、伐採のサイクルは実質無限に繰返しが可能です。伐採して材料となった木材も炭素を固定し続けています。木材を燃やしたり、腐らせたりしてしまえば固定された炭素は再び大気に戻ってしまいます。木材を長期に利用し木材量を増やせば、増えた分だけ大気から二酸化炭素を削減できます。ポイントは森林(人工林)を放置し残すのではなく、成長した樹木を伐採し、その後必ず再植林しながら、我々生活圏で、木材を可能な限り長期かつ大量に使用することです。

樹木の生長と炭素貯蔵量のイメージ

3.炭素の貯蔵
(地盤改良により炭素を地中貯蔵)

  • 木材の長期かつ大量使用はLP-SoC工法やLP-LiC工法などの地盤改良工事用の丸太を用いて実現します。
  • 丸太は地下水位以深では、酸素が不足するので腐朽や蟻害などの生物劣化を生じることがなく、半永久的に木材の状態を維持し、炭素を固定し続けます。持続可能な林業が行われる限り、LP-SoC工法やLP-LiC工法でCCS(Carbon Dioxide Capture and Storage)と同様の効果を新たなエネルギーやコストをかけることなく、建設工事を実施しなが同時に得ることができます。カーボンストック技術で真の循環型社会を形成し、持続可能な発展を実現出来ます。

木材利用によるCCS(樹木の生長により二酸化炭素を回収固定し、建設工事で炭素貯蔵)

4.木材の地中における耐久性
(地下水位以深にある木材は腐りません)

  • 軟弱地盤や液状化しやすい地盤の特徴は、地下水位が表面近くにあり、浅いことです。木材は地下水以深では酸素が不足するために腐朽や蟻害といった生物劣化を生じません。したがって軟弱地盤や液状化しやすい地盤に丸太を打設しても、丸太は生物劣化することがありません。国内でも過去の構造物基礎であった木杭などが、健全な状態で数多く発見されています。世界的には例えば15世紀中頃から16世紀に栄えたベネチアが木杭で有名です。ベネチアでは構造物基礎が木杭で、現在もなおそのまま使用されています。このため「ベネチアを逆さまにすると森ができる」と言われています。

福井県足羽川の木橋に使われ57年間地中にあったスギの木杭(全く健全でした)

5.木材利用の推進
(Wood First!)

  • 建設の、特に土木工事では現在ほとんど使われなくなってしまった木材ですが、木材は他材料と比べ決して劣ることはなく、使い方次第ではむしろ優れた材料です。特に地中の地下水位以深にある木材は、数百年を優に超えて健全であることが確認されており、長期耐久性を有し、長期耐久性について他材料では見られない多くの実績があります。
  • 江戸時代には、土・石・木などの天然材料を用いて持続可能な都市が築かれていました。その後高度経済成長やバブル期に、我々は、極度に地下水資源に依存し、気が付けば地球環境に大きな影響を与え、地球の共進化に逆行する存在になっていました。
  • 今後真の循環型社会を作り、人類もその一員となるためには、再び土・石・木などの天然材料、特に木材を見直し、少なくも木材利用を最初に考え、使えなければ他材料を考えていくといったウッドファーストの考えが必要です。

ウッドファースト

6.丸太によるカーボンストック
(工事をすればするほど温室効果ガスを削減)

  • 丸太は炭素を固定していると言っても、工事によっても二酸化炭素を排出するので、その収支が気になります。そこでLP-LiC工法の多くの施工現場で、実際に丸太による炭素固定量と、工事によって排出される二酸化炭素量を計測しました。その結果丸太によって固定された炭素量(二酸化炭素換算)は、工事によって排出される二酸化炭素量よりもはるかに多く、丸太を使った地盤改良工事を実施すればするほど、地中に炭素を固定し、温室効果ガス削減に寄与できることが実証されました。

丸太による炭素貯蔵量と工事によって排出される二酸化炭素量の比較

従来工法との比較、長所

 従来の液状化対策工法と、温室効果ガス排出量(排出と貯蔵の収支)の比較を行いました。深層混合処理のようにセメントを使う工法から、砂を用いた密度増大工法に変えると、省エネルギー効果により二酸化炭素排出量を大幅に減らすことができます。しかしながら、このような省エネルギーのタイプの工法は、温室効果ガスの排出量を減らせても、0に近づくのみで常に排出側です。丸太を使ったLP-LiC工法ではさらに、炭素貯蔵効果により、二酸化炭素の収支は排出から貯蔵に転じ、工事の実施自体が温室効果ガス削減になります。

外部団体からの表彰・
外部団体への登録状況

技術審査証明,2013年度,技審証第3004号
「第17回国土技術開発賞」優秀賞,2015年度
「第6回ものづくり日本大賞」内閣総理大臣賞,2015年度
「Forest Good 2015 間伐・間伐材利用コンクール」林野庁長官賞,2015年度
「ウッドデザイン賞2015」奨励賞,2015年度
「平成27年度地盤工学会」地盤環境賞,2016年度

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